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小笠原・父島

2010.10.01

毎年行きたいと思い行けてなかった父島にようやく行けました。

東京湾から船で25時間。たぶん日本で一番遠い場所。海外で考えてもかなり遠い場所。船は6日に一便だけ。与論島までわざわざ東京湾から船で48時間かけて行ってたくらい船旅が好き。ツバルでの船旅は悪天候と重油の匂いで大変でしたが、(ベトナムはハロン湾の船もそういえば重油の匂いすごかった)でも与論島への船旅とかギリシャの島を船でアイランドホッピングしたりはすごく好きです。段々陸地が見えなくなってきて、海の色も濃い群青色に変っていく。いつの間にか海と空だけの世界。遠くの乱気流の下で降っている雨、船に驚いて逃げてくトビウオ、変っていく空の色と雲の形、海の色。限られた中でしか身動きがとれず、携帯も繋がらない、ただ景色を眺めて本を読んで昼寝をしてご飯を食べる。やることないじゃん!って言う人も多いけど、それが好きです。考え事するにはちょうどいい。

そしてようやく着いた念願の父島。海の色も山の形も植物もすべて東京都にいるとは思えなくて、東京都のイチョウマークが不自然でした。東京にも残っている貴重な自然。世界の中でも有数の美しい海。イルカとマッコウクジラとの海中での出会いは貴重な体験でした。私達を横目に華麗に泳いで行くイルカの群れ。マッコウクジラは深さ1000~2000mも潜れるそうです。海の中で深海へ向かって泳いで行くクジラはとても優雅でした。

そんな父島に何年も前から空港の建設の計画があります。前々から空港が出来てしまう前には一度訪れたいと思っていまた。もちろん私は大反対!父島含め小笠原の貴重な自然はこのまま残すべきと思っていますが、島の人と話していると、飛行機に比べ船はものすごく高かったり、何より外科のお医者さんしかいないので子どもは島では産めないとか、病人でも重体じゃなければ6日に1便の船で内地に輸送、重体だったらヘリとか小型機が硫黄島経由して来るけど、ヘリが出るってことは相当危ない時だけらしいです。医療の不安というか、もういざとなったら諦める覚悟がないと住めないです。

ツバルの事を思い出しました。プラスチックのゴミが増えても処理する施設がなくゴミの島の様になっている場所もあって、でもそれは私たち先進国が作り出しているゴミであって、自分たちがこんなに便利に暮らしているのに彼らには自然を守る為に昔ながらの生活を強要するなんて出来る訳もないななんて、夜な夜な集まってみんなで外でジャッキーチェンの映画を見たり電子ピアノで歌ったりしているツバルの人を見ながら考えていました。住んでもいない外部の勝手な意見で空港反対と大声では言えませんが、それでも、この海の色がいつまでも守られることを願っています。